皆さんこんにちは、小崎音楽教室代表の小崎です。
今回の記事のテーマは、
【金管楽器奏者のアンブシュア】
です。
金管楽器奏者ならば、
必ずといっていいほど一度は悩むアンブシュア。
アンブシュアとは、
管楽器の演奏者が、
楽器を吹くときの口の形およびその機能のことである。
演奏者の口(または唇、舌、歯、顎、頬、鼻腔、咽喉など)がある特殊な機能を持たされた状態を指すということもできる。
Wikipediaより
その中でも、今回は唇について考えていきます。
前回の記事で、
【金管楽器の適性と唇の関係性について】
というところでも、
唇に関する内容を触れました。
これまでたくさんレッスンをしてきて、
特に金管楽器を吹いている奏者から、
「唇のフィット感が気持ち悪いです」
「上唇にどれくらいマウスピースを入れたらいいですか?」
「長時間吹いていたら唇が腫れてきました」
「唇の動かし方がよくわかりません」
etc…
こういう話を聞くと、
生徒さんたちが唇に意識がいっているのがよくわかります。
本当に、
唇に関する悩み・トラブルは多いです!
そもそも、
なぜそんなに唇に意識がいってしまうのか?
これは、
脳神経科学の観点からみていくと、
明確な理由が存在します。
皆さんはこの絵を見たことがありますか?

これは、
ペンフィールドのマップ
と言われるものです。
カナダの脳神経外科医ペンフィールド(1891~1976)は、

人間の知覚、思考、推理、記憶、自分の意思による運動を司るのが「大脳」。
そして電気刺激を用いて、
「どの大脳の箇所が」「どの身体の部分を」
刺激しているのかについて研究していました。
ペンフィールドは、
大脳のどの部分が、
身体のどの部分に対応しているかだけではなく、
脳の各部分の対応領域の割合の大きさまでもを解明しました。
要するに、
大脳の各部分と身体の各部分の対応領域のサイズには、
ばらつきがあるということです。

ペンフィールドのマップをよく見てみると、
手や唇の占める割合が非常に大きいことがわかります。
これは、
人間が何かのモノやコトを認識するにあたっては、
手や唇からの感覚情報が非常に重視されるということなのです!
ペンフィールドのマップをもっとビジュアル的にわかりやすくしたのが、
「ペンフィールドのホムンクルス」と言われる人形です。

ペンフィールドのホムンクルスとは、
身体の感覚情報のバランスをビジュアル的に再現したものです。
この人形を見ると私たちの脳が、
身体のどの部分の感覚情報に重きを置いているのか、
視覚的に認識できます。
そして、
改めてこのペンフィールドのホムンクルスを、
今日のテーマである、
なぜ金管楽器奏者はアンブッシュア(唇)に意識がいってしまうのか?
というところに当てはめてみると、
唇は、
ヒトの部位の中でも、
特に感覚情報を受け取りやすい場所です。
その証拠に、
感度が高くなるように訓練していくと、
上唇に指の腹を乗せると指紋の形状を認識できるようになる
ということがあります。
なので、
金管楽器を吹いていて、
(もちろん木管楽器もそうですが、)
唇に意識がいってしまうのは、
人間の構造上仕方がないことなのです。
というか、
ペンフィールドのホムンクルスをみると、

そもそも管楽器を演奏するのに必要な、
・唇
・舌
・手
・耳
という身体の部位が、
どれも感覚情報を受け取りやすいということがよくわかります。
なので、
これら4つの部位は意識しなくても、
感覚情報をたくさん受け取るようになってるから、
それよりも、
呼吸に必要な筋肉や音楽そのものに意識を向けて、
意識的に感覚情報を受け取りに行く必要があります。
ポイントとしては、
二、管楽器を演奏するためにより必要な部位や音楽に意識を向ける。
ということです。
どこにも意識をフォーカスしなかったら、
結果的に唇に意識がいってしまいます。
ここでも意識の注意点を、
↓ 呼吸に必要な筋肉や音楽
に変えてやるだけで、
音がこもってたのがクリアになったり、
音が広がっていたのがまとまったりするなど、
音に変化が出てくることがあります。
ぜひ試してみてください。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
何か感想・ご意見等ありましたらメッセージよろしくお願いします。