【楽曲に生命を宿す唯一の方法】

演奏会レポート

みなさんこんにちは、音楽指導者・指揮者 の小崎です。

昨日・一昨日と、東京・大阪にて2日続けて、

日本初来日のテオドール・クルレンツィス & ムジカエテルナのコンサートに行ってきました。

今回の記事は、この2日間の演奏を聴いて感じたこと・気づいたことをまとめていきます。

実は、テオドール・クルレンツィス & ムジカエテルナを初めて知ったのは先週!

テオドール・クルレンツィス(Teodor Currentzis)

1972年、ギリシャのアテネ出身。

幼時より生地で音楽を習い、1994年にサンクトペテルブルク音楽院でイリヤ・ムーシンに指揮法を学んだ。

サンクトペテルブルク・フィルハーモニー管弦楽団のユーリ・テミルカーノフのアシスタントを経て2004年にノヴォルシビスク国立歌劇場の音楽監督に就任し、さらにアンサンブル・ムジカエテルナとムジカエテルナ室内合唱団を創設して芸術監督となった。

2010年にノヴォルシビスク国立歌劇場の座を退き、2011年からペルミのペルミ国立オペラ・バレエ劇場の芸術監督となった。

2018/2019シーズンより南西ドイツ放送交響楽団の首席指揮者に就任。

ムジカエテルナ(Musicaeterna)

ロシアのウラル山脈の麓に位置するペルミを本拠とするアンサンブル。

当初はシベリアの中心都市、ノヴォシビルスクを拠点とした古楽器を含む室内楽オーケストラだったが、クルレンツィスとともにペルミに移り、ペルミ国立歌劇場の音楽監督および座付きオーケストラとして2004年に創設。

一躍80人超の大オーケストラへ拡大し、実力派アーティストを招聘。

たまたまスマートフォンでヤフーニュースを見ていると、

『テオドール・クルレンツィス & ムジカエテルナ 初来日』 が記事になっていて、

テオドールのことを知れば知るほど、

”演奏を聴きたい!!“

となり、気がつけば曲目を確認することなくチケットを購入していました。 

というのも、

僕が音楽を通じて目指している世界と、

彼の音楽ミッションがとっっっても似ている!

というか同じだ!

と感じたからです。

クルレンツィスの音楽の2つのミッション
1つは彼の音楽によって聴衆を幸せにすること、

もう1つは、それによって聴衆をより良い人間にし、自分をより良く知れるように自分自身と対話する機会を与えること

これ、まさに僕がやりたいことと全く同じ!!

一人ひとりが周りにより良く接することで、それが世界を変えていく力になります。

やはり、いまの世の中というのは商業的になっているのかもしれません。

自分の信念だけで何か物事を行うということができなくなってきています。

だから、信念を持って何かをする人を見ると奇妙に映るのかもしれません。

しかし私たちはそれ(信念をもつこと)が重要だと思っているのです。

テオドール・クルレンツィス

という、彼の価値観・考え方を感じたい!

ということで2日間演奏を聴きに行ってきました。

2日間ともオールチャイコフスキープログラムでした。

■2019年2月13日(水)  東京/サントリーホール

1、チャイコフスキー: 組曲第3番 ト長調 op.55

2、チャイコフスキー: 幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」op.32

3、チャイコフスキー: 幻想序曲「ロメオとジュリエット」

■2019年2月14日(木) 大阪/フェスティバルホール

1、チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.35 (Vn: パトリツィア・コパチンスカヤ)

2、チャイコフスキー: 交響曲第6番 ロ短調 op.74 「悲愴」

この2日間の演奏を通じて感じたこと・気づいたことを一言で言うと、、、、

衝撃的!!!!!!!!!!!!!!

まさに別格!!!!!!!!!!!!!!

これだとわかりにくいので、冷静に振り返っていきます笑

◯個人練習はもちろんのこと、オーケストラとしての練習量・練習時間を相当やっているのがわかる

・ダイナミクスやテンポの変化があってもアンサンブルが乱れない

・オーケストラの音楽の方向性がはっきりしている

・これまでに聴いたことのないような弱音

◯楽曲を徹底的に突き詰めて掘り下げていった先に見えた深い世界を表現している

・打楽器(特にティンパニ)の使い方がスゴい

・ものすごく細かな表情・感情をギリギリのところで表現しているのに、不安定感がない

◯オーケストラと指揮者の信頼関係がすごい

・指揮者とオーケストラが会話を楽しんでいたり、ケンカしたり、勝負したりと、常に対話していた

・お互いのアイコンタクトがめっちゃ多い

◯指揮者が音楽を身体で表現して、それをオーケストラが音で(楽器で)具現化している

◯時間をかけて楽曲を細部まで深く突き詰めていくと、こういう音楽が生まれるんだっていう一つの答え

◯今、この瞬間に音楽が生まれているというのを強く感じる

◯楽譜や集団というルールの中で(ある種の不自由を感じる中で)、自由に演奏する

・オーケストラのメンバー一人ひとりが楽曲のことを深く理解している

・オーケストラのメンバーがとてもいきいき演奏していた

そして、今回一番の大きな気づきは、今回の記事のタイトルにもなっているこれです!

楽曲を一つひとつ、

徹底的に突き詰めて、

練習していくことが、

その曲に生命を宿す唯一の方法!

ホントにこれしかないんだな、ということを演奏を聴いていて強く感じました。

実は演奏会後にムジカエテルナのメンバーと飲みに行って、

そのときにたくさん貴重な話が聞けたので、

また別の機会に紹介したいと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

何か感想・ご意見等ありましたらメッセージよろしくお願いします。